講座卒業生インタビュー vol.1 佐藤 彰さん
多様なステークホルダーと多様な考えを持った人たちと向き合う上での継続的な課題とは?
佐藤 彰さん
株式会社RECCOO senior consultant。
「奇跡の経営」として世界中から注目され、GoogleやNetflix、ザッポスなどあらゆる企業が参考にしたセルフマネジメントシステム(自律分散型組織)の礎を作った「セムコスタイル」の組織開発コンサルタントとして活動。
またパラレルワーカーとして、SDGsコンサルティング 、コーチング、各種コミュニティ運営、プロティアンキャリア協会プログラムデザイナーなど、多様なアクションを実施している。
― 使ってみてどうでしたか?
パワフルでした。まず、問いのカードを見ているなかでも勝手に内省が起きている。1枚、2枚選ぶだけでも、実は問いに対して自分の中で様々な考えが生まれていて、カードを選ぶ段階で参加者の視野が広がっていくんです。
そもそも、場においてなぜ行き違いが起こっているかというと、みんなそれぞれ自分の視野の中で『正しさ』を作っているのだと思います。その正しさという『箱』は人によって大きかったり小さかったり、重なってなかったりするわけで、そのことがきっかけで無駄なぶつかり合いが起きる。
ところが、カードを見回していると、箱自体の見方そのものが、こういう視点を考えるのも大事だな、ああいう視点で考えるのも大事だなと感じながら、その中で自分にとってはこれが大事、という内省を参加者全員がやっているので、人の意見を受け入やすくなっている。アジェンダに対して見る角度が、問いカードを見回している間に自然に広がっている。その上で、誰がどんな問いを重視しているのか、それぞれの人の考えを知ることができ、それぞれを共有することで誰が正しいということではなく、各々がアジェンダに対して何かしらの想いを持っていることを安心して出しやすい、というプロセスがあります。
― 初めてSOUNDカード™に触れた方の反応はどうでしたか?
「なんだなんだ、何が始まるんだ?」という反応でしたが、すっと入っていきました。
SOUNDカード™を使うことが目的ではなく、その場をつくる意義やねらい、どんな場にしたいのかしっかり動機づけしている前提が大事だと思います。そして、そもそものアジェンダに納得していなければ『事故る』だけ。
まずこの場のアジェンダ自体に共通認識を取った上で、SOUNDカード™に入っていくと、人によっては「なんだろう?」という反応はありますが、アジェンダにコミットしているので、自然とした流れで進められます。
あとは、他のツールや場の流れの中でSOUNDカードを溶け込ませると、より親和性が高くなります。例えば、SDGsカードゲームをやって、大事にしている本質がわかった段階でSOUNDカード™を使う…など。
私の場合はファシリテーションを何年もやっていますが、SOUNDカードは違和感なく場に溶け込ませることができる、そんなツールだと感じています。
一方で、ファシリテーションに馴染みのない人でも、あのカードがあればファシリテーションをしてくれる、支えてくれる強い味方になってくれます。
あとは、セッションの前と比べて相互理解がより深まりましたね。対話の質が深まることで、場に出しやすい、発言しやすい、問いが助けてくれてより踏み込みやすくなるのを感じます。
通常のディスカッション、ダイアログよりも、より踏み込んだ内容の話し合いがされていて、参加者自身もそれを実感として感じられている。なかには目を背けていたもの、なんとなくやっていたものが、ある意味あぶり出されることもあります。それをどうするか、このままダラダラ行くのか、そこも含めて進歩していくのだと思います。
― SOUNDカード™セッションを経て、メンバーに従来との打ち合わせと違う変化は見られましたか?
数回使って慣れていくと、メンバー全員がファシリテーターになっていきますね。この辺でつまずいているなとか、場の状況に関するフックが全員に立ちやすくなっていると思います。
加えて、問いのカードがあることで、カードのせいにできるということです。用意されたものを使うことで、自分の言葉で言えない人にとっては、いい意味で他責にできる。
本来、問いや定義をするのは、人と発言が切り離されるべきで、特に協働作業においては、誰が言ったかは関係ない。でも現実はそうでなくて、誰が言ったかによって聞くか聞かないか判断したり、自分の人格と発言そのものが結びついてしまったり、「正しいことを言わないと」「無知であってはいけない」ということを感じることが多いと思うのですが、SOUNDカード™があることで、人格と発言がちゃんと切り離されいくと感じます。
― 今後、SOUNDカード™をどのように活用していきたいですか。
今後、さらに色々なことが難しくなっていくと思います。
答えはないし、多様だし、しっちゃかめっちゃかと色々な混沌が生まれていく数十年になっていくと思います。
混沌のパワフルさを感じながらも、混沌の中で秩序を作っていけるか、カオスの中でもうまく進められる、その場面場面において使っていくことになると思います。
ファシリテーター、コンサルタント、コーチという自分の枠組自体も、限界があるので、自分自身も、場も、よりカオスに適応していく支えになってくれると考えています。
― SOUNDカード™の購入・利用を検討している方に一言おねがいします。
色んなものに親和性が高いし、問いを見ていくことが、自分の世界観、それもどういう世界観で見ていたか、どこに自分の足りない視点があったのかというのを、自分自身がやっている場においても気付かされることがある。そしてその気付きが参加者にも起きていく、そんなツールになると思います。
人や場に関わる人にとってのいいパートナーになると思います。
― 今回は貴重なお話をありがとうございました!
■本インタビューは2022年7月28日に行ったものです。
― 普段のお仕事を教えてください。
組織開発のコンサルティングに加えて副業でコーチングをご提供しているのと、企業へのSDGs導入の支援を行っています。
― なぜSOUNDカード™に興味を持たれたのですか?
率直に言うと「なんとなく」で、最初の期待値はそんなに高くなかったです。よくある「問いカード系」なのかな?というのが、講座申込時の印象でしたが、講座を受講してその期待値が覆りました。
背景にある思想や、今までの問いカードと違ってかなり色々な点で構造化されていることの有益性、他のツールとの親和性の高さなどに講座を通して気付きまして、これはすごいパワフルなツールだと感じました。
― 講座受講を通して理解したこと、学んだこと、得られたことは何でしたか
改めてチーム、組織、プロジェクトにおいて何が求められているのか、これからの変化において何が大事なのかの理解が深まりました。
明確な課題があるのでSOUNDを学ぼう、という直接のきっかけはなかったのですが、SDGs、組織開発、地方創生という場において、多様なステークホルダーと多様な考えを持った人たちがいかに生成的に進められるかを継続的な課題として持っていて、試行錯誤を数年間やり続けています。こういったミーティング等の場で何かが相互に作用して生まれていく過程において、これからはファシリテーションがすごく大事なエッセンスになっていくと思っています。
ただ、これまでの自分を振り返るとファシリテーションを感覚でやっていて、手順・ノウハウとして明確に体系化していなかったんですよね。
その点、SOUNDカード™そのものが生成的なファシリテーションをやる上ですごく大事な流れが分かりやすくまとまっていて、その要点をカードで掴めるようになっています。なぜファシリテーションがうまくいくのか、失敗するのかを、カードが教えてくれるんです。
― 活用された時の状況について、詳しく教えてください。