Case02
進捗の途中から参加した商品開発会議
<Bさんのケース>
会議名称 :商品開発会議
参加メンバー:4ヶ月前に着任したマネージャーとその部下6名
所要時間 :120分
商品開発のスピードアップと構造改革をミッションとして、4ヶ月前から開発部のマネージャーに着任した。これまで改善点がいくつか見えてきているものの、部下たちはみな今までの仕事のやり方を変えることに抵抗があるのか、改革方針を打ち出しても納得していない様子だ。
来週の会議では商品開発の進捗報告の予定だが、この機会にもっと部下たちと現状の改善について話し合いたいと考えている。部下たちの意見を聴きながらも、現状のやり方について部下たちと一歩踏み込んだ話し合いができる会議の進め方は無いものか。
進め方のポイント
①今まで商品開発を支えてきた部下たちのやり方を尊重しながら、マネージャーから見た問題を一方的に指摘するのではなく、部下たちの困りごとを解決するという意図を伝えて、意見を出しやすい雰囲気をつくる
②制約を取り払った理想の未来を話し合いながら、理想に近づくための課題の優先順位を部下たちと合意しつつ、実現への方向性をマネージャーがまとめることで、部下たちの信頼を得るようにする
③自部門の個別最適に留まらない課題解決を視野に入れることで、イノベーションの幅を広げられるようにする
SOUNDカード™の基本動作
カードを並べて選ぶ
選んだカードについて話す
ミーティングの流れ
マネージャーの想いや会議の目的・ねらいを共有する
趣旨説明
(5分)
メンバー自身がどうにかしたいと思っている一人一人の課題を共有し、解決しようとする場であることを伝えます。
今の正直な気持ちを一言ずつ話す
チェックイン
(10分)
マネージャーが積極的に話して議事を進行しようとすればするほど、他のメンバーは指示待ち姿勢を強くすることがあります。一人一人を尊重しあう雰囲気をつくるためにも、率直な気持ちを語ってもらう機会をつくります。
Step00
Agenda
(5分)
会議のアジェンダ(議題)を決める
話し合う内容を決めずに進捗報告等から始めると、メンバーの会議に参加する意味が薄れやすくなり、消極的な姿勢になります。毎回の会議の効果を高めるためにも、メンバーの問題意識に沿って議題を決めることで、自分事として会議に取り組みやすくします。
Step01
Status
(15分)
問題の見える化と安全な場をつくる
自分たちの商品開発に自負があればあるほど、メンバーは新しく来た上司の施策や関わり方に抵抗を感じる可能性があります。あくまでもメンバー自身が先延ばしにしている、または関係各所との調整で難しく感じているような課題を取り扱うために、現状の問題意識を棚卸します。
Step02
Outcome
(20分)
チームとして実現したいビジョンをつくり出す
問題解決の姿勢のままで会議を進めると、メンバーは守りの思考を強めやすくなり、抜本的な課題解決やイノベーションを生み出しにくくなります。制約を取り払った理想の未来をともに創り出すことで、イノベーションに必要な多様なステークホルダーを巻き込める土台をつくります。
Step03
Understand
(25分)
ビジョンの実現に何がポイントなのかを話し合う
商品開発は自部門の個別最適に陥りやすく、他部門の状況や事情を考慮して協力することが難しくなります。関係各所の垣根を越えた協働の妨げになっている要因は何か、それがどんな因果関係の連鎖によって構造的に生じているのかを明らかにし、協働を図る上でのねらい目を定めます。
Step04
Negative Check
(10分)
施策に対する抵抗要因を洗い出す
アウトプットを出し続けるプレッシャーにさらされている商品開発メンバーにとって、重要かつ緊急ではない抜本的な取り組みは、後回しになりやすくなります。定めたねらい目の課題に対する抵抗要因を洗い出し、先手を打てるようにマネージャーも解決に向けて積極的に取り組むことで、停滞や手戻りを少なくします。
Step05
Drive
(20分)
実際のアクションを選定し実行する
未来に向けた理想に近づくために、メンバーが動きやすいように具体的な施策や、その実施結果が見える化されるような仕組みを話し合って決めることで、自分たちの取り組みに意義や達成感を持てるようになり、より計画が実行されやすくなります。
チェックアウト
(10分)
会議の振り返りとハーベストを共有する
会議を終えた後は決定事項だけが印象に残り、施策決定以上の効果は得られにくいことがあります。商品開発の重責にさらされているメンバー一人一人が尊重され、モチベーションを高めるためにも、会議実施の前後での感情の変化や、マネージャーからは丁寧な承認とフィードバックを意図して振り返りを行います。
途中でリーダーが変わった商品開発チームの特徴
1.新任上司に対して警戒しやすい既存メンバー
新しいマネージャーが着任先での経験が浅い、または全く別の分野から異動になった場合は、改革方針を打ち出しても既存メンバーが消極的、あるいは抵抗するような態度を取ることがあります。なぜなら、成果を上げている商品開発メンバーには自分たちが会社を支えているという自負とプライドがあり、そこに他部署で実績をあげた新しいマネージャーが自分たちのやり方を引っかき回しにきたように映ってしまい、自分たちのやりたいことがやれなくなると感じる既存のメンバーが防御的になりやすくなるからです。
マネージャーは、自身が感じる問題意識や改善点をいきなり伝えるのではなく、メンバーから「よく話を聴いてくれて、やりたいことを支援してくれる」と認識されるように、メンバーの意見を聴く姿勢を示すことで、信頼を積み重ねていくことが重要です。
2.立場の違いが生み出し続ける意見のズレ
商品開発に携わるメンバーは、顧客や社会のニーズに応えるために日々、悪戦苦闘しながらアウトプットを出し続けるプレッシャーにさらされています。このような状況で、会社の考えや立場を優先するような発言や行動を取るマネージャーは、商品開発メンバーから敵とみなされる可能性があり、お互いが取る立場の違いで意見が合わないことが多くなります。
マネージャーは、商品開発がうまくできたその先に、顧客や社会にどんな貢献をしたいのかをメンバーたちと丁寧に話し合い、未来に向けた理想をともに描くことで、同じ気持ちで商品開発に向き合っていることが伝わるようになります。この関係性がベースにあることで、仮にマネージャーが会社の立場上で困っていることを打ち明けたとしても、メンバーからは「弱さをさらけ出してくれた」と見え、信頼関係がより深まる可能性があります。
3.目の前の仕事を優先しがちなメンバー